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LINEミニアプリが物理デバイスに進出 IoT連携で「見えない売上」を解消

あのゲームセンターのクレーンゲーム、売上はどうやって管理されているか、考えたことがあるだろうか。

答えは拍子抜けするほど単純だ。担当者が定期的に現地へ足を運び、機械の中の金庫を開けて、硬貨を手で数える。それが長年の「当たり前」だった。

この何十年も変わらなかった世界に、2026年2月、変化が起きた。

目次

集金するまで売上がわからない——コイン式機器の長年の課題

コインを入れると動く機器の総称を「コイン式機器」と呼ぶ。
ゲームセンターのクレーンゲーム、コインランドリーの洗濯機、ショッピングモールのマッサージチェア——身近な場所に当たり前のように置かれているが、その裏側の管理は驚くほどアナログだ。

金庫を開けて硬貨を取り出し、手で数えるまで、正確な売上は誰にもわからない。
「昨日は何円売れたのか」を把握するには、現地へ行くしかない。

遠く離れた場所に何台も置いている事業者にとって、この集金作業は重荷だ。
台数が増えるほど、その分だけ人手と交通費が消えていく。

稼働データも存在しない。「週末の何時に客が集まるか」「連休前に補充が必要か」——判断の材料になるデータは何もなく、販促は長年、勘と経験に頼るしかなかった。

この状態が何十年も続いた。コイン式機器の世界はデジタル化の波が何度来ようと、アナログのまま取り残されてきたのだ。

LINEのQR読み取りだけで操作・決済が完結

そこに動きが出た。

飛天ジャパンが2026年2月に提供を始めた「VALUE Cube(バリューキューブ)」は、コイン式機器にLINEを組み合わせたクラウドサービスだ。

使い方はシンプルだ。機器に貼られたQRコードをLINEで読み取る。それだけで支払いから利用開始まで完結する。

入口になるのは「LINEミニアプリ」——LINEの中で動く小さなアプリで、専用アプリを別途ダウンロードする必要はない。
スマートフォンの大半に入っているLINEをそのまま使えるため、利用者側に新たな準備はいらない。

PayPayやクレジットカードなど主要な支払い方法に対応しており、100円玉を用意する必要もなくなる。

後付け端末で既存機器をそのまま活用

「導入には機器の入れ替えが必要では」——その心配はいらない。

コイン式機器の多くは、コインを入れたときに電気信号を発する仕組みを持っている。その信号を読み取る小型の通信端末を後付けするだけで動く。
大がかりな工事も、高額な機器の買い替えも不要だ。ただし製造年代や方式によっては対応できないケースもあるため、導入前に機器の仕様確認が必要になる。

売上や稼働状況をリアルタイムで把握

事業者が手にするのは、決済の仕組みだけではない。

クラウド上の管理画面から、各機器の売上や稼働状況をリアルタイムで確認できる。
現地に足を運ばなくても、「今日は何台が動いているか」「どの機器が止まっているか」がスマホ一つでわかる。

LINEを通じたクーポン配信や時間帯別の割引も実施できる。
集金・管理・販促——これまで別々にかかっていた手間が、この仕組み一つにまとまる。

イオンファンタジーが370台で先行導入、7月に汎用版へ

構想の話ではない。すでに動いている。

2026年2月、千葉県船橋市に開業した新店舗「クレーン横丁 極 コーナン船橋花輪インター店」で、大手アミューズメント施設運営のイオンファンタジーがこの仕組みを全面採用した。
店内のクレーンゲーム約370台すべてに端末を後付けする——業界で初めての試みだという。

利用者の入口は「横丁手形(ヨコパス)」と名付けられたLINEミニアプリだ。
チャージしてまとめて払うか、1回ごとに払うかを選べる2モード制を採用。店内から両替機が消え、スタッフが対応していた細かな人手仕事も削減された。

この2月の導入はイオンファンタジー向けの専用バージョンだった。
2026年7月1日、一般の事業者向けに汎用版がリリースされる予定だ。
コインランドリー、自動販売機、無人販売所——コイン式機器を使うあらゆる事業者が対象になる。

料金体系や初期費用の詳細は、本稿執筆時点では公表されていない。中小事業者への普及を念頭に置いたサービスと位置づけられているが、導入を検討する場合は飛天ジャパンへの直接確認が必要になる。

大手が370台で実証した仕組みが、3か月後に中小の事業者の手に届く。

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