「ポテト頼んで」で注文が完了する
「マックのポテト頼んで」——LINEにそう送るだけで、AIが動き出す。
アプリを開き、商品を選び、配送先を確認し、決済まで完了する。
人間がやることは、最初のひと言だけだ。
2026年4月20日、LINEヤフーが発表した新しいAIブランド「Agent i(エージェント アイ)」のデモで公開されたシーンだ。
Uber Eatsと連携し、注文の全工程をAIが自動でこなす。
「AIがユーザーの意図を理解し、代わりに動く」——そう表現された。
これまでのAIは「質問すると答えてくれる」ものだった。
「近くのマックはどこ?」と聞けば地図を出してくれる——図書館の司書のような存在だ。
Agent iは違う。「ポテト買ってきて」と頼めば、実際に走って買ってきてくれる。
道具ではなく、動いてくれる存在になった。
LINEの各タブとYahoo! JAPANの検索窓に専用アイコンが追加され、ワンタップで呼び出せる。
難しい設定はいらない。普段使っているアプリの中に、AIが住み始めた。
これは実験ではない。
LINEのAI機能はすでに2025年12月の時点で、1日あたり860万人が使っている。
その土台の上に、Agent iは乗っている。
「Agent i」でLINEはどう変わるか
ポテトの注文はあくまで一例だ。
Agent iにはスタート時点で、「買い物」「おでかけ」「天気」など7つの専門AIが用意されている。
それが2026年6月末までに20領域以上に広がる。
買い物も外出もAIに任せる
「お買い物エージェント」は、Yahoo!ショッピング・Amazon・楽天を横断して商品を比較し、予算に合うものを提案から購入まで導いてくれる。
価格比較サイトを自分で開いて調べる——その手間が丸ごとなくなる。
「日程調整エージェント」はもっと踏み込む。
グループLINEのトークを読んで「この日ならみんな空いてますよね」と候補日を出し、カレンダーへの登録まで代わりにこなす。
幹事を任されたときの、あのやり取りが消える。
グループトークの読み取りについて
なお、グループトークの内容をAIが読み取る仕様については、サービス開始前に利用規約での詳細説明が求められる部分だ。
冷蔵庫の写真で献立が届く
「レシピエージェント」では、冷蔵庫を撮って送るだけで今日の献立を提案してくれる。
何を作るか考える時間も、食材を思い出す作業も、AIが引き受ける。
この「察してくれる感」が、夏までに20分野以上に広がる。
さらに2026年6月までには、使うほど自分仕様になる「メモリ機能」も加わる予定だ。
夏からはLINEの問い合わせにもAIが答える
ここまでは「あなたが使う側」の話だ。
次は逆の立場——店や企業のLINEにも、同じAIが入ってくる。
2026年夏、企業向けに「LINE OA AIモード」が提供される。
国内に100万件以上あるLINE公式アカウントが対象になりうる。
美容室に「明日の午後、空いてますか?」とLINEを送ると、AIが即座に空き枠を確認し、予約まで完了させる——そんな体験が、夏から動き始める。
深夜2時でも、年末年始でも、AIは止まらない。
Yahoo!ショッピングではすでに、AI機能の導入後に取扱高が111%増という実績が出ている。
先行して導入した企業ではフォームへの記入・申し込みへの転換率が有人対応比で改善した事例があると発表されているが、具体的な数値は現時点で公開されていない。
「営業時間外だから翌朝まで待つ」がなくなると、客の行動は変わる——その変化の大きさは、今後の実績データが示すことになる。
2026年8月には、企業向けの「Agent i Biz(エージェント アイ ビズ)」も始まる。
問い合わせ対応だけでなく、店舗の販促戦略の提案や広告施策の実行まで支援するAIだ。
メガネチェーンのZoffや美容室チェーンのAshが、先行パートナーとして参加している。
店員がいなくても接客が回る。深夜に問い合わせた客が、翌朝には予約済みになっている。
1億人が毎日開くLINEの中で、そういう変化が夏から始まる。

