LINEを開いて、検索するだけ。別のアプリは要らない。
2026年6月22日、そんな手軽さのデジタルマネー管理機能が、日本で正式に動き始めた。
「Unifi mini」が国内リリース
LINE NEXTが同日リリースした「Unifi mini」は、LINEアプリの中で動く「LINEミニアプリ」だ。
別途アプリをインストールする必要はなく、LINEの検索窓に「Unifi mini」と入力するだけで見つかる。
LINEアカウントでログインすると、自分専用のデジタルマネー財布(ウォレット)が即座に作られる仕組みだ。
日本国内のLINEの月間利用者数は約1億人。
その全員が、今この瞬間から、新たなダウンロードなしにこの機能を使える状態になった。
LINEはこれまで暗号資産取引所「LINE BITMAX」を国内で運営していたが、同サービスは同時期に終了している——取引所から日常の決済機能へ、LINEの金融サービスの方向が変わった。
複雑な手続きがLINEだけに
LINEにログインするだけ、と聞けば当たり前に思えるかもしれない。
しかし、これまでのデジタル資産管理がどれほど面倒だったかを知れば、この軽さの意味が変わる。
「シードフレーズ」——24個のランダムな英単語を紙に書き、絶対になくさない場所に保管する。
これが従来の必須作業だ。
この紙をなくせば資産に永遠にアクセスできなくなり、流出すれば盗まれる。
普通の人が踏み込めなかった最大の理由はここにある。
Unifi miniでは、その手順がすべて消えた。
LINEやGoogle、Appleのアカウントでログインするだけで、自分専用の財布が作られる。
しかも、この財布の管理権はサービス会社ではなくユーザー自身が持つ設計になっている——「誰かに預けているのではなく、自分のものとして持っている」という状態だ。
1コイン=1円で何ができるか
手軽に手に入るのはわかった。では、この財布の中に入っているお金はどういうものか。
Unifi miniで扱うコイン「JPYC」は、ビットコインとは根本的に違う。
「ステーブルコイン」——価格が安定するよう設計されたデジタル通貨の一種だ。
1コイン=1円の価値が保たれ、持っていても価格が乱高下することはない。
2025年8月、資金決済法に基づく電子決済手段として関東財務局への登録が完了しており、法律上も日本円と1対1で交換できる資産として認められている。
貯めて、持つ
今すぐできることは大きく2つある。
まず「貯める」——Unifi miniでサービスを利用すると、JPYCがリワードとして付与される。
貯まったJPYCはそのままウォレットに積み上がり、日本円の価値を持つデジタル資産として手元に残る。
通常のポイントと似ているが、1コイン=1円で価値が固定されているため、失効もなく円換算でそのまま残る点が違う。
もう一つは「持つ」——ウォレットにJPYCを入れておくだけでいい。
価格が乱高下するビットコインと違い、1コイン=1円で安定しているため、置いておくだけで価値が目減りしない。
同じ仕組みのグローバル版「Unifi」では、JPYCのサポートを開始してからわずか1か月で、国内のJPYC流通量No.1を達成している。
流通残高は3.3億円を超え、国内最大規模に達した。
韓国の店舗でも使える計画
韓国の決済大手・Danalとの協業も発表された。
実現すれば、保有するJPYCを韓国の美容店やコンビニでそのまま支払いに使える。
現地通貨への両替も、専用アプリも要らない——スマホ一つで完結する見込みだ。
ミニアプリが金融に踏み出す
Unifi miniは単体のサービスではない。
LINEミニアプリが、生活サービスの次に金融を取り込み始めた象徴だ。
これまでLINEミニアプリが担ってきたのは、飲食の予約、美容サロンの会員証、物流の荷物追跡——日常の手続きをLINEで完結させる領域だった。
そこに今回、お金を管理し、払う機能が加わった。
勢いは数字が示している。
Unifi miniと同じLINEミニアプリ基盤を活用した決済サービスは、2025年1月のリリースから1か月で累計3,500万回利用された。
新規ウォレット発行数は2025年3月時点で300万件を超え、決済ユーザーの増加率は585%を記録した。
LINE NEXTは2023年、海外の大手投資ファンドから約200億円を調達している。
代表は日本を足がかりにデジタル通貨の利用をグローバルで広げる戦略を掲げており、Unifi miniはその中核に位置づけられている。
1億人がアクセスできる状態になった今、実際に使われるかどうかが次の問いになる。

