LINEで気になる商品を相談して、そのままLINEで買える——そんな使い方が現実になった。
LINEの接客ツールとして1,000社以上に使われてきた「Atouch(アタッチ)」が5月7日、「Atouchストア」という新機能を公開した。
LINEのトーク画面から商品を見て、カゴに入れて、決済まで、一度もLINEを離れずに完結できる仕組みだ。
Atouchストアで何ができるのか
商品一覧をミニアプリに表示
Atouchはもともと、LINEのトーク画面で店員のように1対1の接客ができるツールだった。
「この商品はどうですか」と提案し、そのまま決済まで完結させる——それが従来の姿だ。
今回加わった「ストア」機能は、その接客に「自分で見て回れる商品棚」を追加するものだ。
LINEのアプリを開いたまま使える小型の組み込み機能(これをLINEミニアプリと呼ぶ)の上に商品カタログが並び、お客さんは店員に聞かなくても自分のペースで商品を選べるようになった。
スマートフォンに別のアプリを入れる必要はなく、いつものLINEの中に商品棚が現れるイメージだ。
トークで相談した商品も、棚から自分で選んだ商品も、同じカゴに入れてそのまま購入できる。
外部のECサイト(ネットショップ)に飛ばされることがない。
最短3タップで購入完了
購入にかかるステップは最短3タップだ。
通常のECサイトなら会員登録や住所入力で何度も画面を行き来するところが、LINEに紐付けられた情報でそのまま決済まで進む。
「相談して、そのまま買う」が1つのLINEで完結
ネットで気になる商品を見つけても、「詳しくはこちら」をタップして別のサイトに飛んだ瞬間、なんとなく買う気が失せてしまった——そんな経験は少なくないはずだ。
画面が切り替わること自体が、購買のブレーキになる。
Atouchストアは、このブレーキを取り除く仕組みだ。
トークで「この商品どうですか」と相談を受けた流れのまま、LINEの画面を離れることなく商品を見て、カゴに入れて、支払いまで終わらせられる。
外部のネットショップが開くことも、別のアプリに切り替わることもない。
ペット用サプリメントを販売するカーラ・ラボは、Atouch導入後に定期購入の売上が最大5倍に増えたという。
「最大5倍」はAtouchストア単体ではなく、トーク接客を含むAtouch全体の導入効果として同社が示した数値で、増加した主な層は「ECサイトの操作が苦手」という50代以上の顧客だ。
外部サイトへの誘導をやめ、LINE内で完結させたことで、その層が初めて自分で繰り返し購入できるようになった。
補聴器のレンタル・販売を手がける株式会社ホルザフクイでは、成約率が20%向上し、売上全体の4割がAtouch経由になった。
「相談してから慎重に決める」という補聴器特有の購買プロセスと、トーク接客からその場での購入という一本の導線が、そのままかみ合った結果だ。
LINE側の変化も後押しに
このタイミングでのリリースには、プラットフォーム側の動きも重なっている。
まず、入り口の変化だ。2026年2月、LINEヤフーはアプリ下部のタブを「ウォレット(電子マネー)」中心の画面から「ミニアプリ」専用の画面に切り替えた。
ミニアプリへのアクセスが一段とわかりやすくなり、店への入口の性質が変わった。
その入口から入ってくる人数も、すでに大きい。現在、月に約2,480万人がLINEミニアプリを利用している。
LINEユーザーの6人に1人が、毎月何かしらのミニアプリを使っている計算だ。
さらに4月には、LINE内での課金機能が全事業者に開放された。「LINEの中でお金が動く」仕組みが広く解放されたことを意味する。モノを売る基盤が、LINE上で急速に整いつつある。
Atouchストアは、その流れに乗るタイミングで登場した。
Atouchストアは「自分の店舗」——まとめ買いモールとは別の話
LINEの中に「商品棚」と聞くと、すでにLINEが運営するショッピング機能と混同されるかもしれない。
その機能は複数のショップが一か所に集まるモール形式で、ブランドや店名で探して比較して選ぶ場所に近い。
Atouchストアは仕組みが異なる。各ブランドが自社のLINE公式アカウントの中に商品棚を持ち、1対1の接客と購入がそこで完結する。
モールに出店するのではなく、「自分の店舗をLINE上に構える」に近い。相談しながら買うという導線は、モール型のECにはない。
Atouchストアの登場は、一企業の新機能というより、LINEというプラットフォームが「買い物できる場所」へと変わっていく流れの一コマだ。
ECサイトを別途用意しなくても、LINEを店舗にできる環境が、今まさに揃い始めている。

