KDDIが4年ぶりの最優秀賞
会社や職場で使うビジネス向けチャットアプリ「LINE WORKS」——LINEの法人版のようなもの、と思えばいい——の年間販売コンテストで、今年、4年ぶりに王者が入れ替わった。
2026年5月26日、LINE WORKS株式会社が都内で開催した「LINE WORKS Partner Conference 2026」。
LINE WORKSを企業に販売することを仕事にしている代理店・販売会社を対象に、1年間の活躍を競うアワードだ。
最高賞「The Best Sales Performance」を今年受け取ったのは、KDDIだった。
LINE WORKS株式会社の発表によると、KDDIの受賞は4年ぶり、通算5度目。
この「4年ぶり」という数字が重要だ。
直近4年間、その最高賞を連続して獲得してきたのはソフトバンクだった。
4連覇を続けてきたその勝者を、今年KDDIが逆転した。
なぜKDDIが選ばれたのか。
LINE WORKS株式会社の島岡岳史代表取締役社長は、受賞理由を公式にこう述べた——「AI関連製品の提案・販売にいち早く取り組み、市場を牽引した」。
つまり、単純に「たくさん売ったから1位」ではない。
同社の発表によれば、今年の審査基準は3つの軸で構成されていた。新規の導入件数、AI関連製品を活用した提案の質、そして既存顧客に使い続けてもらう力——この3点を総合評価した結果だ。
「数を売る力」だけでなく「AIを組み合わせた提案力」が評価の中心に据えられたこと。それが、4年続いた勢力図を塗り替えた直接の理由だった。
AI提案が勝敗を分けた
3つの評価軸のうち、KDDIが他の代理店と最も差をつけたのが「AI関連製品の活用提案」だった。
KDDIが採ったのは、チャットアプリ単体を売るやり方ではなかった。
「LINE WORKS with KDDI」として、自社のネットワークやセキュリティサービスとAI機能をセットにして提案する——いわば「まとめ売り」の戦略だ。
顧客にとっては、バラバラに契約していた複数のサービスをKDDIの窓口1つで揃えられる形になる。
会議の議事録を自動化するAIを提案の入り口に
新規顧客へのアプローチで軸に据えたのが、AI議事録サービス「LINE WORKS AiNote」だ。
会議の内容を自動でテキストにまとめるAIサービス——会議後の議事録作りをAIが代わりにやってくれる、というものだ。
KDDIはこれをLINE WORKSと組み合わせ、「チャットツールを入れると、こんな業務も自動化できる」という形で提案のフックにした。
さらに、KDDIは自社内でも生成AI(文章を作ったり判断を補助するAI)を業務に取り入れ、その実体験をもとに顧客へ提案を行った。
「自分たちも使っている」という裏付けが、他の代理店との提案の厚みの差を生んだとみられる。
ソフトバンク4連覇が止まった背景
ソフトバンクが弱くなったわけではない。
競争のルールが変わったのだ。
ソフトバンクは4年間、「どれだけ多くの企業に導入させたか」という数の競争で圧倒的な実績を積み上げてきた。
審査基準に「AIを組み込んだ提案力」が加わったことで、4年続いた勢力図が動いた。
少なくともこのアワードの採点表では、「売る量」から「AIを使った提案の質」へと、評価の重心が移ったことは確かだ。法人ITを売る競争のルールが変わりつつあるとすれば、それはLINE WORKSの販売に限った話ではない。
なお、今回の順位入れ替わりについてソフトバンク側の公式コメントは現時点で確認されていない。

