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LINE Bank台湾が単月黒字達成、競合2行はなお赤字——差を分けたのはLINEの2200万ユーザー

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開業4年8カ月で初の黒字

スマホだけで完結し、店舗を一切持たない銀行——台湾で「ネット専業銀行」と呼ばれる形態のLINE Bank(連線商業銀行)が、2025年12月に初めて月単位で利益を出した。
税引前で1,100万台湾ドル(約5,500万円)。2021年4月の開業から4年8カ月かかった。

利益を支えたのは個人向けローンだ。
24時間スマホで申し込めるこのサービスの残高は750億台湾ドル(約3,750億円)を突破し、台湾の全銀行の中で6番目の規模まで成長した。
店舗ゼロの銀行としては異例の数字だ。

口座を持つ220万人のうち、毎月実際に使っている人の割合は55〜60%を維持している。
「口座だけ作って放置」ではなく、日常的に使われ続けている——それが利益に結びついた。

同じ時期に開業した台湾のネット専業銀行は3社ある。
LINE Bank以外の2社は今も赤字が続いており、差は縮まっていない。
同じ「スマホ完結」のコンセプトで始まったにもかかわらず、なぜここまで差がついたのか。

2200万人のLINEが銀行の入口になった

答えは「入口の場所」だ。

台湾でLINEを使っている人は約2,200万人。台湾の人口は約2,340万人だから、ほぼ全員が毎日開くアプリだ。
そのLINEアプリの「ウォレット」タブを押すと、LINE Bankの口座に直接アクセスできる。
専用アプリをわざわざダウンロードする必要はない。

なぜこうした組み込みが実現できたのか。答えはLINE Bankの成り立ちにある。
この銀行を設立したのは、LINEの日本法人であるLINE Fukuokaと、台湾最大手の民間銀行である中国信託商業銀行(中信銀行)を中心とする出資グループだ。
LINEグループが銀行の株主として最初から関わっているから、LINEアプリへの組み込みが設計段階から可能だった。
競合他社が「LINEアプリに入れさせてほしい」と頼もうとしても、それは構造上できない話である。

この仕組みを、LINE Bankは「ダブル・エントランス(二つの入口)」と呼ぶ。
専用アプリからも入れるが、大半のユーザーはすでに日常で開いているLINEアプリ経由で使う。
つまり、銀行側が広告を打って「使ってください」と呼びかけなくても、自然に使われる構造になっている。

ローンの使い勝手も後押しした。
スマホで申し込んで最短7分で着金する24時間対応のローンは、利用者の約70%が銀行の窓口が閉まっている時間帯に申し込んでいる。
「急にお金が必要になった夜中」でも完結できる——それが若い世代を引きつけた。

店舗ゼロが生む「構造的な安さ」

LINE Bankが黒字に近づけた理由は、収益の増加だけではない。コストの低さも同時に効いている。

物理的な店舗を持たないことで、不動産賃料・店舗管理費・店頭スタッフの人件費がそもそも発生しない。
さらに、日常のLINEアプリ経由で新規ユーザーが自然に流れ込む構造上、テレビCMや大規模なキャンペーンで利用者を外から呼び込む必要が薄い。
利用者一人を獲得するためのコストが、広告頼みの銀行より低く抑えられている。

ローン残高が750億台湾ドルを超えるまで積み上がると、一件あたりの審査・管理コストも薄まる。
「規模が大きくなるほど一件あたりのコストが下がる」という、金融ビジネスの基本的な性質が、ここで機能し始めた。

競合2行はなお赤字が続く

では、同じ「スマホ完結」で出発した他の2社はどうか。

台湾のネット専業銀行3社のうち、LINE Bank以外の2社——楽天国際商業銀行と将来銀行——は今も赤字が続いている。

2025年末時点での3社の累積赤字を合計すると約90.7億台湾ドル(約454億円)。
そのうちLINE Bankの累積赤字は約40億台湾ドル(約200億円)だから、残る2社で50億台湾ドル超の赤字が積み残っている計算になる。

楽天も将来銀行も、台湾で2,200万人が毎日使うようなアプリを持っていなかった。
だから利用者を増やすには広告を打ち、キャンペーンを組み、一人ひとりを「外から」呼び込み続けるしかない。
その費用がかさみ続ける限り、黒字への道は遠いままだ。
黒字化の見通しも立っていない。

次は通期黒字、その先にIPO

月単位の黒字は出た。だがLINE Bankが目指しているのは、その先だ。

2026年中に四半期・上半期・通年のすべてで黒字を達成し、通年の利益は1億台湾ドル(約5億円)以上を見込む。
業績が計画通りに進めば、2028年には株式市場への上場(IPO)を視野に入れていると、総支配人の黄以孟氏は公式に表明している。

ただし、現時点でまだ約40億台湾ドル(約200億円)の累積赤字が残っている。
開業以来4年以上かけて積み上がった赤字を解消するのは、2029年中頃までを想定している。
月1回の黒字で帳消しになる数字ではない。

ここから2〜3年、年単位で利益を出し続けられるかどうか——それがLINE Bankにとっての本当の試練だ。
「入口の構造的な優位」は変わらないが、数字がそれを証明し続けるのはこれからの話である。

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