LINEでゲームやマンガに課金可能に
LINEのアプリを開くと、トークの画面以外にもさまざまな機能が並んでいる。
その中に「LINEミニアプリ」と呼ばれる仕組みがある——LINEの中で動く小さなサービスで、別のアプリをスマホにインストールしなくても、飲食店の注文やポイントカードの提示が使える。街のカフェや飲食チェーンがこの仕組みを使っていることが多い。
2026年4月13日、そのLINEミニアプリに大きな変化が加わった。
LINEヤフーが「デジタルコンテンツ課金機能」を全事業者に開放すると発表し、同日から利用可能になった。ゲームのアイテムを買う、マンガの続きを読む——そういった「コンテンツへの支払い」がLINEの中で完結できるようになったということだ。
この機能自体は2025年7月から存在していた。
ただし当時は一部の企業だけが使える先行提供の段階で、利用するには個別に問い合わせが必要だった。それが今回、LINE Developersコンソール(開発者向けの管理画面)からオンラインで申請できる形に変わった。申請できるのは法人に限られており、審査を通過する必要がある。
手数料はiPhoneならApple、AndroidならGoogleのアプリ内課金手数料(一般に売上の30%程度)が差し引かれ、さらにLINEヤフーへのプラットフォーム利用料が加わる仕組みだ。
事業者の取り分の詳細はLINEヤフーへの問い合わせが必要になる。
支払いの仕組みはシンプルだ。
iPhoneやAndroidにすでに登録してあるカード情報をそのまま使えるため、ユーザーが外部のブラウザやサイトに飛ばされる必要がない。スマホでアプリを探してダウンロードして、会員登録して、やっと購入——という従来の手順が丸ごと省かれる。
この違いは小さいようで大きい。
外部サイトへの遷移が発生するたびに、購入をやめる人が出る。LINE内で完結するということは、その離脱が起きない。LINEミニアプリのプラットフォームで、支払いまでの摩擦がゼロに近い状態で商品を届けられる。自社でアプリを開発しなくても、だ。
640万人が遊んだ先行タイトル
この課金機能を真っ先に使ったのが、ゲーム会社Playco(プレイコ)だ。
バーチャルペットを育てながらパズルを楽しむ『ぶるぶるどーぶつ』というソーシャルゲームに課金機能を組み込み、LINEの公式アカウントの友だち数は640万人を超えた。
ただし、640万人というのはゲームを「フォローしている人」の数であり、実際に課金した人の数ではない。
そこは混同しないほうがいい。それでも、自社アプリを持たずにLINEの中だけで数百万規模のユーザーを抱えたという事実は、規模として軽くない。
Playcoはリリースコメントの中で、決済がLINE内で完結する点を導入の決め手として挙げている。
ゲームを気に入ったユーザーがアイテムを買おうとしたとき、外部ブラウザに飛ばされることなく、そのままLINEの画面の中で支払いが終わる。
「買おうかな」と思った瞬間と、実際に買える瞬間の間に、余計な手順が入らない——という判断だ。
もっとも、現時点で課金できるのは限られた種類の商品だ。
ゲームのアイテム、デジタルポイント、回数券——使うと減っていく類のデジタル商品に限られる。毎月定額で引き落とされるサブスクリプション型はまだ対象外で、LINEヤフーは対応を予定しているが、時期は示していない。
Playco1社の事例だけで「全面開放後も同じように機能する」とは言えない。
ただ、先行期間に市場が動き始めていたことは確かだ。
「ミニアプリ」タブ新設の狙い
Playcoの事例は1社の話に見えるが、同じ時期にLINEが起こした変化はもっと大きい。
2026年2月、アプリ下部のタブに並ぶ「ウォレット」が「ミニアプリ」へと名称を変えた。
タブ名が変わったことで、LINEを開いたときにミニアプリが前面に出るようになった。
新しい「ミニアプリ」タブの月間利用者数は4,700万人超だ——これはLINE全体でこのタブを開くユーザーの数で、実際にミニアプリを使う約2,050万人よりはるかに大きい。
タブにはレコメンド枠も設けられ、ユーザーが自分で検索しなくても関心に合ったミニアプリが表示される仕組みになった。
自前で集客しなくても、この画面に載れば見つけてもらえる——事業者にとって無視できない露出だ。
タブの模様替えと課金開放が同時期に重なったのは、偶然ではない。
LINEミニアプリの累計サービス数は3万件を超えた。
もともとは飲食店のモバイルオーダーや小売店のポイントカードといったオフラインの便利ツールが中心だった。
それが今、ゲームやマンガといったデジタルコンテンツの領域へと広がりつつある。
チャットアプリとして使われてきたLINEが、コンテンツで収益を上げるプラットフォームとしての顔を見せ始めた。
タブの変更と課金の開放は、その転換をはっきりと示している。

