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LINE、飲食・美容の「店舗基盤」に 予約・注文・会計を一本化する新サービス開始

予約はあのサービス、注文はこのタブレット、支払いはまた別の端末。
飲食店や美容室の日常は、複数のシステムを使い分ける手間とともにあった。2026年6月、LINEヤフーはその複雑さをまとめて引き受けるサービスを始めた。

目次

予約・注文・会計がLINEに集約

スマホをお店のシールにかざす。
それだけで注文画面が開く——QRコードを探す手間はない。

この体験を生み出すのが「LINEタッチ」と呼ばれる仕組みだ。
テーブルや壁に貼るシール型のタグで、NFC(近距離無線通信)という技術を使っている。交通系ICカードを改札にかざすのと同じ原理で、スマートフォンを数センチ以内に近づけるだけで通信が完了する。2020年以降に発売された主要スマートフォンの多くが対応しており、客はアプリを起動しなくても注文ページへ自動でつながる。

この仕組みを飲食店と美容室の経営に組み込むサービスが、2026年6月に始まった。
LINEヤフーが提供する「LINEレストランプラス」(飲食店向け)と「LINEビューティープラス」(美容室向け)だ。これまで別々のシステムで管理していた予約・注文・支払い・顧客情報を、LINE上でひとつにまとめた。

新しいアプリを入れる必要はない。
導入の敷居を下げたのには理由がある。LINEヤフーが実施した調査によると、従業員100人以下の店舗のうち53.2%がいまだにデジタル化に着手できていないという。

美容室向けにはさらに独自の機能がある。
予約前にLINEでカウンセリング(髪の悩みや希望スタイルの事前ヒアリング)が完結し、施術後は写真付きのカルテがLINEで届く。外国人客への対応も多言語翻訳が自動でこなす。

導入費用は飲食店向けが月額3万6,000円、美容室向けが月額1万4,000円だ。

価格差には理由がある。
飲食店向けは、来客中のリアルタイム処理——注文の受付、会計の完了、席の空き管理——まで一手に引き受ける。
美容室向けは、予約の受付と来店前後のやりとり(事前カウンセリング・施術後のカルテ送付・多言語対応)が中心で、来店中の注文・会計の処理は含まない。

飲食店向けは現在初年度無料、美容室向けは先行申込みで半額のキャンペーンを実施中だ。

食べログやホットペッパーとは、何が違うのか

食べログやホットペッパーグルメ、楽天ビューティー——こうした予約サイトは「知らない人に見つけてもらう場所」だ。
お客さんが検索して比較して予約する。店側はそのための掲載料や予約手数料を毎月払い続ける。国内の飲食店約45万店、理美容サロン約38万店の多くが「集客コストが重い」「サイト経由のお客さんは再来店しにくい」と感じながら、大手プラットフォームに頼り続けてきた。

LINEの発想は方向が逆だ。
外部サイトで新客を探すのではなく、すでに店のLINEアカウントを「友だち追加」してくれているお客さんに直接届ける。食べログやホットペッパーへの掲載料を払わなくても、手持ちの顧客リストからそのまま呼びかけられる。

注文データが販促に変わる

予約から支払いまでのデータがそのまま残るため、それを次の販促に使える。
何を注文したか、いつ来たか——その履歴を元に「前回カルビを注文したお客さんに新メニューを案内する」といったことが、追加のシステムを契約せずにできるようになる。

LINEヤフーが公表した導入事例によると、居酒屋チェーン「赤から」を展開するホリイフードサービスはLINE経由の予約導線を強化した結果、予約数が3倍に増えたという。香川県の美容室「stotia.f」は電話やハガキでの顧客フォローをLINEに一本化し、予約のほぼ100%がLINE経由になった。次回予約率は70%超、新規客の再来店率も60%を維持しているとされる。いずれもLINEヤフー発表の数値であり、第三者による独立した検証はない。

送ったメッセージを、当日中に8割が開く

LINEの国内月間利用者数は2025年12月末時点で1億人を超えた。
このプラットフォームからお店が送るメッセージは、受信した当日中に約80%のユーザーが開封するとLINEヤフーは説明する。メールマガジンとは届き方の次元が違う。

店が積み上げた「友だちリスト」が、そのまま集客チャネルになる。食べログやホットペッパービューティーとの違いは、構造にある——「予約を受ける」ことと「客を集める」ことが、同じ基盤の上で動く。そんな仕組みはこれまでの予約サービスにはなかった。

初年度を実質無料にしてまで乗り換えを促すLINEが、なぜここまでの基盤を持てているのか。その答えは、2年前にさかのぼる。

LINEがここまでできる理由

2026年2月、LINEヤフーは飲食店向け予約管理システムを手がける「株式会社トレタ」を完全子会社化した。
「トレタ予約台帳」はすでに全国1万9,000店舗が使っている実績あるシステムで、その予約管理の仕組みを丸ごと取り込み、LINEレストランプラスの中核に据えた。つまり、一から作ったのではなく、現場で使われてきたものを統合した。

さらに2025年7月、サポート専門の子会社「LINEヤフービジネスパートナーズ」を設立。
200名規模の体制で、全国の飲食店・美容室への現場サポートにあたる。ツールを渡して終わりではなく、ITに不慣れな店舗の導入から日常の運用まで人が関わる——これはウェブサービスの常識とは異なる動き方だ。

トレタが持つ「AI電話予約」の技術も統合が進む見通しで、電話での予約をAIが自動受付してデータとして蓄積する仕組みが整いつつある。
美容業界もヘアサロンを皮切りに、エステ・ネイル・まつげサロンへの拡大計画が公表されている。

思いつきで始めたわけではない。
2年がかりで技術と人を揃え、満を持して動き出した——それが2026年6月の新サービスの実態だ。

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