「Agent i」でLINEヤフーのAIが1つに
4月20日、LINEヤフーがAIの新ブランド「Agent i(エージェント・アイ)」を発表した。
LINEとYahoo! JAPANにそれぞれあったAI機能を1つにまとめ、同日から無料で提供を始めた。
コンセプトは「毎日のそばに、だれでも使えるAIを」。
難しい操作を覚えなくても使える——それを前提にした設計を打ち出している。
これまでのAIが「質問に答える」ものだとすれば、Agent iが目指すのは「代わりにやる」AIだ。
国内1億人超が日常的に使うLINEと、Yahoo! JAPANの両方を入り口に、その体験を届けようとしている。
企業や店舗が開設する「LINE公式アカウント」はすでに100万件を超えており、LINEヤフーはこの規模のサービスへのAI標準搭載を国内初と位置づける。
買い物からレシピまで7領域
Agent iが対応するのは、ショッピング・旅行・グルメ・金融・エンタメ・ライフスタイル・ローカル情報の7分野だ。
たとえば金融では、保有している株に大きな動きがあればAIが通知する。レシピなら冷蔵庫の中身を写真に撮るだけで、今ある食材で作れる料理の候補が出てくる。Yahoo!ニュースのコメント欄の賛否をAIが要約する機能も含まれる。
LINEとYahoo!の両方が入り口
Agent iにはLINEとYahoo! JAPANという2つの入り口がある。
どちらか使い慣れた方から、同じAIにアクセスできる。使い始めるのに、文章を考える必要はない。
タップするだけでAIが動く
ChatGPTのようなAIを使ったことがある人は、まず「何を聞くか」を自分で文章にして打ち込む必要があった。
うまく質問できないと的外れな答えが返ってくる。「何を入力すればいいかわからない」——これが、多くの人がAIを敬遠してきた理由の一つだ。
NTTドコモ モバイル社会研究所の調査(2026年4月公表)によると、国内の生成AI利用率は前年からほぼ倍増し50%を超えた。
一方、生成AIを使ったことがない人の主な理由として「使い方がわからない」が挙がっている(同調査)。使う人は増えても、入口で止まっている層はまだ残っている。
Agent iはこの壁を取り払う設計にした。
アイコンをタップすると選択肢が画面に並ぶ。あとは指でタップを重ねるだけで、AIが動き始める。
文章を考えて打ち込む必要はない。冷蔵庫の中身を写真に撮ればレシピを提案し、欲しいものをメモすればYahoo!ショッピングから候補商品を自動でリストアップする。
現時点のAgent iができるのは「提案」までだ。
「この航空券がお得です」と教えることはできるが、実際に予約を完了させることはまだできない。
その壁を越えるのが、2026年6月に追加予定の「タスク代行機能」だ。
航空券の予約や商品の購入まで、AIが実際の手続きを代わりに完了させる。
「提案する」から「やり遂げる」へ——ここが次の段階になる。
基本的な利用は無料。検索回数の制限緩和といった上位機能は、月額508円(税込)の「LYPプレミアム」会員向けに提供される予定だ。
いつものLINEも変わる
行きつけの店からの返信が、24時間になる
Agent iが広がると、日頃やり取りしている店のLINEにも変化が起きる。
2026年夏から始まるのが「LINE OA AIモード」だ。
飲食・美容・小売などの店舗が、自社のLINE公式アカウントにAIを組み込めるようになる。
「営業時間を教えて」「このメニューはありますか」——そういった問い合わせを、AIが24時間受け答えするようになる。翌朝まで待たずに済む、というだけでも使い勝手は変わる。
眼鏡ブランドのZoffはすでにプロトタイプを開発中だ。LINE公式アカウント上で好みや用途を伝えると、AIが合う眼鏡を提案し、そのまま予約まで案内する——「提案から予約まで」が一気通貫でできる。セブン-イレブン、スシロー、Zoffなど20社超が初期連携パートナーとして参加する予定だ。
法人向けには「Agent i Biz」を2026年8月から提供予定だ。
クーポンのバナー作成から配信スケジュールの提案まで、マーケティング業務の一部をAIが代行する。店側の準備が整えば、ユーザー側が受け取るLINEの中身も変わっていく。
メモリ機能や20領域拡大も予定
現時点では7分野への対応だが、20領域以上への拡大が計画されている。
6月には「メモリ機能」も加わる予定だ。
AIがユーザーの好みや過去のやり取りを記憶し、次回から同じ説明を繰り返さずに済むようになる。
夏に企業連携が動き出し、秋以降は対応領域がさらに広がる。100万を超えるLINE公式アカウントにAIが入り始めるとき、日常のスマホの使い方は少しずつ書き換えられていく。

