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LINEヤフー、カカクコムに6400億円の買収提案 EQTと争奪戦に

目次

決まりかけた買収に、LINEヤフーが高値で割り込んだ

「食べログ」がLINEヤフーの傘下に入るかもしれない。「食べログ」「価格.com」を運営するカカクコムをめぐり、LINEヤフーが動いた。

2026年5月14日、LINEヤフーは米投資ファンドのベインキャピタルと組み、カカクコムに対して1株3232円での買収を提案した。
総額は約6400億円。先に手を挙げていたスウェーデンの投資ファンドEQTが提示した3000円を、約7.7%上回る条件だ。

ただし、両者の間には決定的な差がある。
EQTはすでに金融庁に届出書を提出し、TOB(株主から市場を通さずに直接株を買い集める手法)を正式に開始している。法的な手続きが動いている状態だ。
一方、LINEヤフーの提案は現時点で意向表明にとどまる。「買いたい」という意思を示したにすぎず、資金調達の確定も、当局への届出も、これからだ。正式なTOBに移行するまでには審査期間が必要で、EQTの期限(7月2日)との兼ね合いも残る。

カカクコム株の市場価格は報道翌日に3400円を超え、両社の提示額をいずれも上回った。
市場は「争奪戦はまだ終わっていない」と読んでいる。

ファンドvs事業会社、なぜ揉めているのか

EQTが仕掛けた非公開化の背景

そもそも、なぜカカクコムが買収対象になったのか。

EQTの狙いは「非公開化」だ。非公開化とは、株式市場への上場をやめること。
上場企業は四半期ごとに業績を公表し、株主の目を常に意識して経営しなければならない。
上場をやめれば、短期の数字を気にせず大胆に経営を変えられる——それがスウェーデンのEQTの論理だった。

カカクコムは食べログ・価格.comという国内有数の比較サイトを抱え、年間数百億円規模の売上を持つ安定した企業だ。
EQTが提示した約5900億円という金額は、買収発表前の市場での株価に対して相応のプレミアム(上乗せ)を付けた水準だった。

5月12日、EQTは買収目的会社「Kamgras 1」を通じてTOBを開始した。
1株3000円、総額約5900億円。カカクコムの取締役会もこの案に賛同する意見を公式に表明していた。

さらにEQTは先手を打っていた。
株式の20.5%を持つデジタルガレージと、17.6%を持つKDDIという2大株主から、「EQTのTOBには応じない」という約束を取り付けていたのだ。
これを「不応募契約」という。競合する買い手が現れても株を売らない、という取り決めだ。
この契約が有効である限り、合計38%の票が最初からEQT側に確保された状態でTOBが動く——数の上では、かなり有利な出発点だ。

ただし、この契約は無条件に破れないわけではない。より高い値段の買い手が現れたとき、株主が「違約金を払っても乗り換えた方が得」と判断するケースがあるからだ。LINEヤフーの対抗提案が出て以降、この契約の拘束力がどこまで及ぶかが、争いの核心になっている。

LINEヤフー参戦で構図が一変

そこにLINEヤフーが高値で割り込んだことで、決まりかけていた話が揺らいでいる。

最初に動いたのは株価だ。
カカクコム株は対抗提案の報道を受けて3400円を超えた。EQT(3000円)もLINEヤフー(3232円)も、どちらの提示額も上回っている。
市場が「どちらかがさらに上乗せする」と見込んでいるサインだ。

続いて、カカクコムの取締役会が姿勢を変えた。
当初はEQTの提案に賛同する意見を公式に表明していたが、LINEヤフーの参戦を受けて「慎重に検討する」という留保付きの意見を公表した。2つの提案を並べて、改めてどちらが有利かを検討する、という意味だ。

2大株主の思惑も割れている。
各社の報道によれば、デジタルガレージはカカクコムの事業に引き続き関与したい意向を示している。EQTが掲げる非公開化路線と、その方向性は必ずしも一致しない。一方KDDIは持ち株の売却を望む姿勢とされ、より高値のLINEヤフー案が魅力的に映る可能性がある。
両社ともEQTと不応募契約を結んでいるが、拘束力の解釈をめぐる法的な議論は続いている。

そして今、勝敗を左右する立場にいるのが第3位株主のオアシス・マネジメントだ。
香港の投資ファンドで、株式の12%を持つ。
2大株主の38%がそのまま動かないとすれば、このオアシスの12%がどちらに流れるかで結果が決まる。オアシスはいまだ態度を明かしていない。

食べログがLINEに取り込まれたら何が変わる

飲食店データ×LINE経済圏

LINEヤフーが買収を目指す理由は、数字に表れている。
食べログが持つ80万件超の飲食店データと、LINEが抱える9600万ユーザー——この2つを組み合わせること、それが買収の目的だ。

LINEヤフーはすでに「LINEレストランプラス」を2026年6月の提供に向けて開発中だ。
これは買収とは独立して進んでいるサービスで、飲食店のLINE予約・決済の強化を目的としている。
買収が成立すれば、これに食べログの予約・口コミ機能が統合される——という絵をLINEヤフーは描いている。
トーク画面で友達と「今夜どこ行く?」と話しながら、そのまま店を検索して予約まで完了できるようになるのは、あくまで買収後の話だ。

さらにLINEヤフーは、AI「Agent i」との連携も視野に入れている。
食べログのデータを参照しながら「渋谷で2名、予算5000円の和食」と話しかければ、候補を絞り込んで予約まで完了する——という使い方だ。
ただしこれも買収後の話であり、まず6400億円の争奪戦の決着がある。

飲食店の予約は、どう変わるか

飲食店にとっての実利は、もっと身近なところにある。
LINE公式アカウントと食べログの予約情報が繋がれば、来店前日に自動でリマインダーを送れる。
ノーショー(無断キャンセル)は飲食業界が長年抱える損失だが、その対策がLINEのメッセージ一本で完結する。

すでにLINEで予約・会員管理・決済を運用している飲食店にとっては、食べログという集客窓口が直接つながる可能性がある。
食べログで店を見つけたユーザーが、そのままLINEで予約を完了する——今は別々だった導線が一本になる。

決着は7月2日に迫る

ただし、その未来はまだ決まっていない。

焦点は3つある。

まず、LINEヤフーが正式なTOBへ移行できるかどうかだ。EQTのTOB期限は7月2日で、LINEヤフーがそれまでに資金調達の確定・当局への届出・審査を終えられるかが、最初の関門になる。

次に、EQTが価格を引き上げるかどうか。LINEヤフーが高値を提示した以上、EQTにも上乗せして対抗する選択肢が残る。どちらかがさらに積み増せば、局面はまた動く。

そして決着を左右するのが、第3位株主オアシスの12%だ。2大株主の38%がそのまま動かないとすれば、このオアシスの票がどちらに流れるかで勝敗が決まる。オアシスはいまだ沈黙を守っている。

答えが出るのは今夏だ。食べログの行き先は、7月2日までの約2ヵ月で決まる。

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